業務内容

当社のこれまで行ってきた主要な業務は以下の通りです。

1      フランスノルマンジー地方での京野菜栽培の事業化

欧州、特にフランス国パリには多くの日本料理店が出店しています。そこで調理される食材は日本から輸入されるものも多いのですが、鮮度、価格の点で現地での栽培が求められる場合が増えてきました。この点に着目した投資家からの依頼があり、フランス国ノルマンジー地方で、京野菜栽培農家のご指導のもと、京野菜の栽培を試みました。気象・土壌の違い、農業慣行の違い、などに直面しましたが、さまざまな工夫によって、九条ネギ、日本キャベツ、賀茂茄子、水菜など、現地の料理人にも品質を評価してもらえる作物を栽培することができました。

2      修学院離宮の水田耕作

修学院離宮は宮内庁京都事務所が管理する皇室関連施設で、総面積54 haの敷地内に3つのお茶室が点在し、その間を棚田が埋めています。これら水田の耕作者が次第に減少し、耕作放棄が心配されるようになってきたため、2017年から京都大学農学部教員有志が水田耕作を受託しています。その後、有志教員の京都大学退職に伴い、京都農業の研究所が受託耕作を引き継ぎ、2022年現在、総面積 0.52 ha、15枚の棚田、総面積0.3 haの畑の耕作を行なっています。水田裏作でのナタネとモチ麦、畑作での油糧作物ジャトロファの栽培にも挑戦しています。

3      メタン発酵消化液の農業利用法の探索

メタンガスを発電や水素源に用いる目的で有機性廃棄物を嫌気発酵しようとする施設が増加しています。メタンガスを回収した後の廃棄物を消化液と呼びますが、消化液には有機性廃棄物が含有するタンパク質や核酸に由来する窒素やリン酸がほとんど損なわれずに含まれています。この点が、嫌気発酵処理が堆肥化などの好気発酵処理に優っている点です。とはいえ消化液中の窒素やリン酸の含有率は低く、しかもアンモニウムイオンとして存在するため、作物への利用には工夫が必要です。製造に多大なエネルギーが必要な化学肥料窒素への依存度を下げるため、メタン発酵消化液を作物の肥料として利用する方法について検討を行い、研究成果を修学院離宮の棚田で実践、検証しています。

4      香港でのジャポニカ米の生産

香港の土地開発業者から、狭い土地を棚田として利用してジャポニカ米を栽培したいと相談され、香港でのジャポニカ栽培を試みています。

5      再生肥料

化学肥料は多くの化石エネルギーを投入して製造されますので、低炭素社会においては化石燃料への依存が少ない肥料を実用化しなくてはなりません。そのための試験、特に試作されたリン酸やカリウムの再生肥料を用いる栽培試験を進めています。